第7回 男性不妊症
男性不妊症(上)
2017.1.17
夫婦そろって受診を 原因の半数は男性側
【相談者】
Kさん 36歳男性。2年前に結婚し、子宝に恵まれないため、夫婦そろって産婦人科に相談に訪れました。診察の結果、ご主人の側に問題がある可能性が高いと分かり、泌尿器科を受診しました。
子宝に恵まれないご夫婦は、ご主人にも奥さんにも特段何も症状がない場合が多いです。ですので、本当に医療機関に行く必要があるのか、どういうタイミングで医療機関に相談したらよいのか、あるいは相談するとすれば、どこがよいのかなど、分からないことばかりだと思います。
■確率は?
妊娠を望むご夫婦の中には、8~10組に1組の割合で、1年以上妊娠しないカップルが存在すると言われています。言い換えると、普通に夫婦生活を送っているご夫婦では、1年以内に約90%が妊娠に至ることになります。
妊娠に至らなかった残り10%の中には、妊娠しても不思議ではないのに、たまたま妊娠が来なかっただけという場合も少数含まれていますが、ご夫婦どちらかに何らかの異常があって、子宝に恵まれなかったという確率がかなり高くなるようです。
これが相談者のように、結婚から2年経過しているとなると、たまたま妊娠が来なかっただけ、というご夫婦はますます少なくなるので、何らかの異常がご夫婦どちらか、あるいは両方にあると考えるのが妥当と思われます。
■原因は?
では医療機関で相談しようとなった場合に、どこを受診すればいいのでしょうか。
ご存じのように、妊娠が起きるということは、女性の持っている卵子と男性の持っている精子が出合って受精し、着床などの過程をたどる必要があります。つまり、女性の側に卵子やその周辺の環境の異常があっても不妊になり、男性の側に精子やそれを取り巻く環境の異常があっても不妊につながる可能性があるわけです。
男女どちらに不妊の原因があったかを統計で見ると、図に示すように、男性側に原因があるものが4分の1、男女両方に原因があったものが4分の1あり、合わせると男性側に原因があるケースが不妊カップルの約半分といわれています。
相談してみようというカップルの多くは、男女どちらに異常があるのか分からないので、一緒に医療機関を受診して、それぞれの検査をしてもらうのがよいと思います。
■何科を受診?
女性は病院・医院の産婦人科を受診しましょう。中には、治療を進める必要上、パートナーの精子の検査をしてくれるところもありますので、2人で産婦人科を受診されてアドバイスを受けるというのも良い手段と思われます。
一方、男性が受診できるところとしては、産婦人科のほかに、病院・医院の泌尿器科があります。泌尿器科は、主におしっこの通り道の病気のほかに、男性不妊を含む男性の性器疾患を専門に取り扱っているところです。
済生会富山病院の泌尿器科では、毎週水曜の午後1時半から3時半まで男性不妊症外来を設けています。月曜、水曜、金曜の午前8時半から11時までの間に受診していただくことも可能です。富山大附属病院にも専門外来が設けられています。
また医療機関とは別に、県は不妊に関する相談窓口として、県不妊専門相談センターを開設しています。ここで相談してみてもよいでしょう。
【相談者】
Kさん 36歳男性。2年前に結婚し、子宝に恵まれないため、夫婦そろって産婦人科に相談に訪れました。診察の結果、ご主人の側に問題がある可能性が高いと分かり、泌尿器科を受診しました。
子宝に恵まれないご夫婦は、ご主人にも奥さんにも特段何も症状がない場合が多いです。ですので、本当に医療機関に行く必要があるのか、どういうタイミングで医療機関に相談したらよいのか、あるいは相談するとすれば、どこがよいのかなど、分からないことばかりだと思います。
■確率は?
妊娠を望むご夫婦の中には、8~10組に1組の割合で、1年以上妊娠しないカップルが存在すると言われています。言い換えると、普通に夫婦生活を送っているご夫婦では、1年以内に約90%が妊娠に至ることになります。
妊娠に至らなかった残り10%の中には、妊娠しても不思議ではないのに、たまたま妊娠が来なかっただけという場合も少数含まれていますが、ご夫婦どちらかに何らかの異常があって、子宝に恵まれなかったという確率がかなり高くなるようです。
これが相談者のように、結婚から2年経過しているとなると、たまたま妊娠が来なかっただけ、というご夫婦はますます少なくなるので、何らかの異常がご夫婦どちらか、あるいは両方にあると考えるのが妥当と思われます。
■原因は?
では医療機関で相談しようとなった場合に、どこを受診すればいいのでしょうか。
ご存じのように、妊娠が起きるということは、女性の持っている卵子と男性の持っている精子が出合って受精し、着床などの過程をたどる必要があります。つまり、女性の側に卵子やその周辺の環境の異常があっても不妊になり、男性の側に精子やそれを取り巻く環境の異常があっても不妊につながる可能性があるわけです。
男女どちらに不妊の原因があったかを統計で見ると、図に示すように、男性側に原因があるものが4分の1、男女両方に原因があったものが4分の1あり、合わせると男性側に原因があるケースが不妊カップルの約半分といわれています。
相談してみようというカップルの多くは、男女どちらに異常があるのか分からないので、一緒に医療機関を受診して、それぞれの検査をしてもらうのがよいと思います。
■何科を受診?
女性は病院・医院の産婦人科を受診しましょう。中には、治療を進める必要上、パートナーの精子の検査をしてくれるところもありますので、2人で産婦人科を受診されてアドバイスを受けるというのも良い手段と思われます。
一方、男性が受診できるところとしては、産婦人科のほかに、病院・医院の泌尿器科があります。泌尿器科は、主におしっこの通り道の病気のほかに、男性不妊を含む男性の性器疾患を専門に取り扱っているところです。
済生会富山病院の泌尿器科では、毎週水曜の午後1時半から3時半まで男性不妊症外来を設けています。月曜、水曜、金曜の午前8時半から11時までの間に受診していただくことも可能です。富山大附属病院にも専門外来が設けられています。
また医療機関とは別に、県は不妊に関する相談窓口として、県不妊専門相談センターを開設しています。ここで相談してみてもよいでしょう。
男性不妊症(下)
2017.1.24
問診・触診でチェック 手術による治療も
【相談者】
Tさん 31歳男性。2年前に結婚しましたが、子宝に恵まれないため、奥さんは産婦人科を、ご主人は泌尿器科を受診しました。ご主人の精液の検査で、精子濃度の低下と精子運動率の低下を指摘されました。
ご夫婦のうち、ご主人に原因があって不妊につながっていると思われるものを男性不妊症と呼びます。男性不妊症の原因の主な内訳をみると、表1のようなものがあります。中には生まれつきなど、予防のしようもないものも含まれています。
■受診すると
泌尿器科を受診すると、まずは問診、つまり医師から話を聞かれることから始まります。問診では、現在までの夫婦生活の状況や、過去あるいは現在、不妊につながる病気や薬物の服用などがなかったかどうかについて詳しく聞かれます。
そして次に身体の診察があります。精巣をはじめとする臓器の視診(外観を見ること)や触診(触ってみて異常がないかどうかを見ること)で、不妊につながる異常がないかどうかを見られます。
■検査は?
続いて、通常は精液の検査が行われます。検査では、精液の量や精子の濃度、運動率、かたち、そして精液にばい菌が付いていないかなどが調べられます。精液の検査は、同じ人でも検査のたびに結果がかなりばらつきます。検査前に射精しない期間を少なくとも2日以上取るなどの注意をした上で、2回以上検査してから判定することが普通です。
精液の検査で表2のような異常が見つかった場合は、さらに、不妊に関わる血液検査や超音波検査、あるいは、染色体の検査などが行われます。
■治療は?
男性不妊症と診断されると、その原因に応じた治療が計画されます。造精機能障害の場合には、原因が分かれば、原因を取り除く治療や薬による治療などが行われます。精路通過障害の場合には、詰まったり欠損したりしている精液の通り道を再建する手術や、詰まっている部分より上流の精巣側から精子を取り出して、女性の卵子との間で体外受精・胚移植を行ったりします。
このほか、性機能障害(性行為がうまくいかない、射精ができないといった状態)が男性の不妊の原因の約20%を占めているとも言われており、こういう悩みをお持ちの方は、ぜひ泌尿器科を訪ねていただきたいと思います。
現在、日本では晩婚化が進んでおり、また若くてもセックスレスの夫婦が増えていると言われています。さらに、日本人男性の精子数が外国の男性に比べて少ないというショッキングな報告もありました。
男性不妊症の予防には、睡眠を十分に取り健康を保つ、仕事上のストレスをうまく発散する、暴飲暴食や喫煙を避けて運動不足を解消する、そしてご夫婦の関係を円満に保つことなどが必要と思われます。
【相談者】
Tさん 31歳男性。2年前に結婚しましたが、子宝に恵まれないため、奥さんは産婦人科を、ご主人は泌尿器科を受診しました。ご主人の精液の検査で、精子濃度の低下と精子運動率の低下を指摘されました。
ご夫婦のうち、ご主人に原因があって不妊につながっていると思われるものを男性不妊症と呼びます。男性不妊症の原因の主な内訳をみると、表1のようなものがあります。中には生まれつきなど、予防のしようもないものも含まれています。
■受診すると
泌尿器科を受診すると、まずは問診、つまり医師から話を聞かれることから始まります。問診では、現在までの夫婦生活の状況や、過去あるいは現在、不妊につながる病気や薬物の服用などがなかったかどうかについて詳しく聞かれます。
そして次に身体の診察があります。精巣をはじめとする臓器の視診(外観を見ること)や触診(触ってみて異常がないかどうかを見ること)で、不妊につながる異常がないかどうかを見られます。
■検査は?
続いて、通常は精液の検査が行われます。検査では、精液の量や精子の濃度、運動率、かたち、そして精液にばい菌が付いていないかなどが調べられます。精液の検査は、同じ人でも検査のたびに結果がかなりばらつきます。検査前に射精しない期間を少なくとも2日以上取るなどの注意をした上で、2回以上検査してから判定することが普通です。
精液の検査で表2のような異常が見つかった場合は、さらに、不妊に関わる血液検査や超音波検査、あるいは、染色体の検査などが行われます。
■治療は?
男性不妊症と診断されると、その原因に応じた治療が計画されます。造精機能障害の場合には、原因が分かれば、原因を取り除く治療や薬による治療などが行われます。精路通過障害の場合には、詰まったり欠損したりしている精液の通り道を再建する手術や、詰まっている部分より上流の精巣側から精子を取り出して、女性の卵子との間で体外受精・胚移植を行ったりします。
このほか、性機能障害(性行為がうまくいかない、射精ができないといった状態)が男性の不妊の原因の約20%を占めているとも言われており、こういう悩みをお持ちの方は、ぜひ泌尿器科を訪ねていただきたいと思います。
現在、日本では晩婚化が進んでおり、また若くてもセックスレスの夫婦が増えていると言われています。さらに、日本人男性の精子数が外国の男性に比べて少ないというショッキングな報告もありました。
男性不妊症の予防には、睡眠を十分に取り健康を保つ、仕事上のストレスをうまく発散する、暴飲暴食や喫煙を避けて運動不足を解消する、そしてご夫婦の関係を円満に保つことなどが必要と思われます。