第20回 狭心症
狭心症と心筋梗塞 ~狭心症~
2017.12.12
冠動脈の血流悪化し発症 薬で心臓の負担軽減
【相談者】
Kさん 58歳男性。最近、坂道を登ったり、急いで歩いたりしたときに、胸が痛いことがあります。心臓病でははないかと心配です。受診したほうがよいでしょうか?
中高年の登山ブームのためか、登山中の死因として、外傷、寒冷障害と並び心臓病が増えています。受診をためらっていたKさんも、趣味の登山中に強い胸部圧迫感が生じました。やっとの思いで下山して病院で受診し「狭心症」と診断されました。今回は狭心症について解説します。
■心臓の働きは?
心臓は全身に血液を送り出すポンプで、1日で約10万回も動いています。この絶え間ない動きを支える酸素や栄養を運ぶ血液は、心臓にかぶさるような「冠動脈」と呼ばれる血管を通して運ばれてきます。
冠動脈の血流が悪くなり、心臓が重い貧血状態になることで、胸が苦しくなるのが狭心症です。血流が途絶え、心臓の一部が死んでしまった状態は心筋梗塞と言います。
坂道を登ったり、急いで歩いたりすると、安静時の5~7倍の酸素が全身に必要で、心臓はより多くの仕事をする必要があります。結果、心臓にもより多くの酸素が必要となり、冠動脈を通し大量の血液が流れることになります。
動脈硬化などで血流が妨げられると、狭心症や心筋梗塞、さらには突然死などの重大な心臓病を引き起こしますので、注意が必要です。
■症状と検査は?
狭心症は、胸が「締め付けられる」「重苦しい」「圧迫される」などの症状が現れます。これらは前胸部、みぞおちなどの特定できない範囲に生じ、首や肩、喉に感じることもあります。症状が続く時間は5分以内がほとんどです。体を動かしたときに生じ、休めたら治るのが典型的ですが、安静時に生じるケースや無症状の場合もあります。
検査には、心電図検査を行います。普通の心電図でも、最近の強い発作の名残が出ることがあります。運動や薬を用いて、心臓に負担をかける負荷心電図で病気に特徴的な変化を確認できます。
体を動かしていない状況で症状が現れる場合には、1日の心臓の動きを記録するホルター心電図検査を行います。より詳しい検査として、心エコーやRI心筋シンチグラフィー検査があります。最終的には、CTコンピューター断層撮影法やカテーテル検査で冠動脈の詰まり具合を診断できます。
■治療は?
ニトログリセリンやカルシウム拮抗薬は冠動脈を広げ、心臓への血流を増やすと同時に、心臓の負担を減らし狭心症を抑制します。交感神経ベータ遮断薬は心臓の負担を減らし、不整脈も抑えます。抗血小板薬は心筋梗塞など病気の進行を防ぎます。
手術では動脈硬化で狭くなった冠動脈を広げるために、カテーテルを挿入し、バルーン(風船)で広げ、ステント(コイル状の金属)を留め置くPCI(冠動脈カテーテルインターベンション)が一般的です。外科手術より身体的負担が軽い半面、再治療が必要な場合があります。
さらに症状が進んでいる場合などには、胸や足の血管を使って流れの悪い血管に別の流路(バイパス)を作り、心臓への血液の流れを確保する冠動脈バイパス術を行うことがあります。全身麻酔で胸を大きく切り開ける手術のため、主に重症の方が対象となります。いったん別の流路ができると、長期にわたって血流の改善が見込めます。
【相談者】
Kさん 58歳男性。最近、坂道を登ったり、急いで歩いたりしたときに、胸が痛いことがあります。心臓病でははないかと心配です。受診したほうがよいでしょうか?
中高年の登山ブームのためか、登山中の死因として、外傷、寒冷障害と並び心臓病が増えています。受診をためらっていたKさんも、趣味の登山中に強い胸部圧迫感が生じました。やっとの思いで下山して病院で受診し「狭心症」と診断されました。今回は狭心症について解説します。
■心臓の働きは?
心臓は全身に血液を送り出すポンプで、1日で約10万回も動いています。この絶え間ない動きを支える酸素や栄養を運ぶ血液は、心臓にかぶさるような「冠動脈」と呼ばれる血管を通して運ばれてきます。
冠動脈の血流が悪くなり、心臓が重い貧血状態になることで、胸が苦しくなるのが狭心症です。血流が途絶え、心臓の一部が死んでしまった状態は心筋梗塞と言います。
坂道を登ったり、急いで歩いたりすると、安静時の5~7倍の酸素が全身に必要で、心臓はより多くの仕事をする必要があります。結果、心臓にもより多くの酸素が必要となり、冠動脈を通し大量の血液が流れることになります。
動脈硬化などで血流が妨げられると、狭心症や心筋梗塞、さらには突然死などの重大な心臓病を引き起こしますので、注意が必要です。
■症状と検査は?
狭心症は、胸が「締め付けられる」「重苦しい」「圧迫される」などの症状が現れます。これらは前胸部、みぞおちなどの特定できない範囲に生じ、首や肩、喉に感じることもあります。症状が続く時間は5分以内がほとんどです。体を動かしたときに生じ、休めたら治るのが典型的ですが、安静時に生じるケースや無症状の場合もあります。
検査には、心電図検査を行います。普通の心電図でも、最近の強い発作の名残が出ることがあります。運動や薬を用いて、心臓に負担をかける負荷心電図で病気に特徴的な変化を確認できます。
体を動かしていない状況で症状が現れる場合には、1日の心臓の動きを記録するホルター心電図検査を行います。より詳しい検査として、心エコーやRI心筋シンチグラフィー検査があります。最終的には、CTコンピューター断層撮影法やカテーテル検査で冠動脈の詰まり具合を診断できます。
■治療は?
ニトログリセリンやカルシウム拮抗薬は冠動脈を広げ、心臓への血流を増やすと同時に、心臓の負担を減らし狭心症を抑制します。交感神経ベータ遮断薬は心臓の負担を減らし、不整脈も抑えます。抗血小板薬は心筋梗塞など病気の進行を防ぎます。
手術では動脈硬化で狭くなった冠動脈を広げるために、カテーテルを挿入し、バルーン(風船)で広げ、ステント(コイル状の金属)を留め置くPCI(冠動脈カテーテルインターベンション)が一般的です。外科手術より身体的負担が軽い半面、再治療が必要な場合があります。
さらに症状が進んでいる場合などには、胸や足の血管を使って流れの悪い血管に別の流路(バイパス)を作り、心臓への血液の流れを確保する冠動脈バイパス術を行うことがあります。全身麻酔で胸を大きく切り開ける手術のため、主に重症の方が対象となります。いったん別の流路ができると、長期にわたって血流の改善が見込めます。