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第12回 子どもの頭部外傷

頭部外傷  子どもの注意点

2017.5.2
経過観察しっかりと CT検査は必要時だけ

【相談者】
 Yさん 35歳女性。3歳の息子が昨日の昼、公園で転んで頭を打ち、泣いて家に帰ってきました。夜になって頭が痛いと言い、2回も吐いたので、救急病院を受診しました。診察の結果、「頭部CT(コンピューター断層撮影)検査は必要ないので、自宅で様子を見るように」と言われました。帰宅後は寝て、翌朝には元気になりましたが、心配ないでしょうか。

 保護者がどんなに気を付けていても子どもにはけががつきものです。特に乳幼児は、転倒の際に頭を打つことが多く、保護者の皆さんは非常に心配されます。

 今回は子どもの頭部外傷の特徴、頭部CT検査で分かること、検査を行う基準、経過観察するときの注意点についてお話しします。

■特徴は?
 子どもは、体に対して頭が大きく筋力も発達していないことから、転んだときに頭を打ちやすいようです。頭皮が薄く、皮下組織が弱いため、打撲により頭皮の断裂やたんこぶ(皮下出血)ができやすい傾向にあります。

 体重が軽い乳幼児は、皮下出血で貧血になることもあります。頭蓋骨は薄く、弾力があるため、線のような骨折よりもへこむような骨折(陥没骨折)が起こりやすく、脳も損傷しやすいといわれています。

■何が分かる?
 外傷の衝撃によって起こった頭蓋骨の骨折、頭蓋内の出血があるかどうかが分かります。頭蓋内の出血といっても、脳挫傷、硬膜下血腫、硬膜外血腫、(外傷性)くも膜下出血といったさまざまな種類があります。

 頭部CT検査は、頭部外傷の診断をするのに非常に役立ちますが、X線という放射線を頭に浴びることになります。最近では、CTの装置や撮影方法の改良が進んで、検査に必要な放射線量は少なくて済むようになり、検査1回だけではそれほど放射線被爆の影響を心配しなくてもいいようです。

 しかし、複数回のCT検査では悪影響が出る可能性が報告されており、やはり本当に必要なときに限って受ける方がいいでしょう。

 CT検査が必要と判断する基準については、欧米ではいくつか提唱されています(図)。

(上)図 軽症頭部外傷におけるCT検査適応条件

 しかし、このような基準を用いても頭蓋骨や脳の損傷は完全に否定できませんし、また、初回のCTで異常がなくても、その後に出血が起こることもありえます。

 ですから、CT検査を受ける、受けないにかかわらず、お子さんをしっかり経過観察することが重要です。病院に入院して経過をみてもらうのもいいでしょう。

■注意点は?
 受傷当日は夜間でも、ときどき起こしてみて、返事ができるか確かめて、表のような症状の出現に注意してください。症状が出たときには、ただちに医師の診察を受けてください。

(上)表 頭部外傷後に注意する症状

 また、2回目の頭部外傷を避ける注意が必要で、体育の授業やスポーツの再開に関しては医師と相談されることをお勧めします。


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