第29回 足白癬・爪白癬
皮膚の病気 ~足の水虫(足白癬)~
2018.8.14
高温多湿の夏に注意 毎日洗って予防を
【相談者】
Iさん 38歳女性。 最近、足の裏の土踏まずに赤いぽつぽつとした小さな水ぶくれのようなものができ、それがとてもかゆいのです。これって水虫でしょうか?
ある調査によると、日本国民の5人に1人が足の水虫(足白癬(はくせん))に罹患(りかん)していると推測されています。その中には自身の足白癬を自覚しておらず、他人への感染源になっていることがあります。白癬菌は真菌(カビ)であり、夏場のような高温かつ湿度の高い環境で増殖します。夏場以外は症状が消えていても白癬菌は潜伏しており、また暑くなると症状が再発します。
■症状は?
足白癬は趾間(しかん)型、小水疱(すいほう)型、角質増殖型の3タイプに分かれます。趾間型は足の指の間の皮がむけたり、白くふやけたりしてかゆくなります。小水疱型は足の指や足裏に小さな水疱ができ、赤くなってかゆくなります。角質増殖型は足底全体の角質が厚く硬くなり、表面がざらざらします。ひび割れが生じ、かゆみは無いことが多いです。趾間型、小水疱型はかゆみで自覚しますが、角質増殖型はかゆみがないため気付かれずに放置されがちです。
■治療は?
足白癬の治療は、趾間型、小水疱型は外用剤で治ります。角質増殖型は皮が厚く外用剤の浸透が悪いため、内服治療が必要になることもあります。外用剤は、有効成分が溶けている基剤によって軟こう、クリーム、外用液に分かれます。軟膏はべたべたしていますが刺激が少なく、外用液は液体で塗り心地は良いですが刺激が多くなります。クリームはその中間で最も使用されています。
外用剤は「お風呂上がりに塗る」など習慣づけ、症状が治まってもきちんと塗り続けることが肝心です。また、傷やただれた所に外用液を使用すると刺激が強く染みるため注意が必要です。また、かゆみや水疱など足白癬とよく似た皮膚病もありますので、素人判断で足白癬と判断するのは危険です。一度医療機関を受診されることをお勧めします。
■日常の注意点は?
足白癬の人は日常生活で注意すべき事があります。足はいつも乾燥させておき、靴下や靴は通気性の良いものを選びます。5本指のソックスも良いです。靴はまめに日に当てて乾燥させ、何足かの靴を履き替えます。タオル、スリッパ、足ふきマットは別々にしましょう。じゅうたんや床は掃除機でまめに掃除します。お風呂の湯や洗濯物では感染しないので、入浴の順番を最後にしたり洗濯物を別々に分ける必要はありません。
白癬菌は通常、皮膚に付着してから24時間で角質に侵入(皮膚に傷がある場合は12時間)しますので、毎日足を洗うことが水虫の重要な予防になります。
【相談者】
Iさん 38歳女性。 最近、足の裏の土踏まずに赤いぽつぽつとした小さな水ぶくれのようなものができ、それがとてもかゆいのです。これって水虫でしょうか?
ある調査によると、日本国民の5人に1人が足の水虫(足白癬(はくせん))に罹患(りかん)していると推測されています。その中には自身の足白癬を自覚しておらず、他人への感染源になっていることがあります。白癬菌は真菌(カビ)であり、夏場のような高温かつ湿度の高い環境で増殖します。夏場以外は症状が消えていても白癬菌は潜伏しており、また暑くなると症状が再発します。
■症状は?
足白癬は趾間(しかん)型、小水疱(すいほう)型、角質増殖型の3タイプに分かれます。趾間型は足の指の間の皮がむけたり、白くふやけたりしてかゆくなります。小水疱型は足の指や足裏に小さな水疱ができ、赤くなってかゆくなります。角質増殖型は足底全体の角質が厚く硬くなり、表面がざらざらします。ひび割れが生じ、かゆみは無いことが多いです。趾間型、小水疱型はかゆみで自覚しますが、角質増殖型はかゆみがないため気付かれずに放置されがちです。
■治療は?
足白癬の治療は、趾間型、小水疱型は外用剤で治ります。角質増殖型は皮が厚く外用剤の浸透が悪いため、内服治療が必要になることもあります。外用剤は、有効成分が溶けている基剤によって軟こう、クリーム、外用液に分かれます。軟膏はべたべたしていますが刺激が少なく、外用液は液体で塗り心地は良いですが刺激が多くなります。クリームはその中間で最も使用されています。
外用剤は「お風呂上がりに塗る」など習慣づけ、症状が治まってもきちんと塗り続けることが肝心です。また、傷やただれた所に外用液を使用すると刺激が強く染みるため注意が必要です。また、かゆみや水疱など足白癬とよく似た皮膚病もありますので、素人判断で足白癬と判断するのは危険です。一度医療機関を受診されることをお勧めします。
■日常の注意点は?
足白癬の人は日常生活で注意すべき事があります。足はいつも乾燥させておき、靴下や靴は通気性の良いものを選びます。5本指のソックスも良いです。靴はまめに日に当てて乾燥させ、何足かの靴を履き替えます。タオル、スリッパ、足ふきマットは別々にしましょう。じゅうたんや床は掃除機でまめに掃除します。お風呂の湯や洗濯物では感染しないので、入浴の順番を最後にしたり洗濯物を別々に分ける必要はありません。
白癬菌は通常、皮膚に付着してから24時間で角質に侵入(皮膚に傷がある場合は12時間)しますので、毎日足を洗うことが水虫の重要な予防になります。
皮膚の病気 ~爪の水虫(爪白癬)~
2018.8.21
重度なら内服薬 病変部の除去も有効
【相談者】
Kさん 62歳女性。 右足の中指の爪の色が白っぽく変色しています。痛みはないのですが、分厚くなって気になります。これは病気なのでしょうか?
ある調査によると、日本国民の10人に1人が爪の水虫(爪白癬(はくせん))に罹患(りかん)しているとされています。爪白癬は爪が白濁したり、肥厚したりするので、症状に気付きやすいのですが、白癬菌が原因と考える人は少ないようです。
■症状は?
爪白癬はかゆみもないため長年にわたり放置されがちです。そうすると、爪にすみ着いている白癬菌が家の中にばらまかれて足白癬が再発したり、家族にうつしたりする恐れがあります。また、爪が肥厚して切りにくくなり、数年間も爪が切られずに鳥の足の爪のようになってしまっている人も見られます。
■どんな種類がある?
爪白癬は4タイプに分かれます。多い順に遠位側縁部爪甲下(えんいそくえんぶそうこうか)爪真菌症(爪の先や横側から菌が侵入)、表在性白色爪真菌症(爪の真上から菌が侵入)、近位爪甲下爪真菌症(爪の根部から菌が侵入)、全異栄養性爪真菌症(爪全体が菌に浸食された最終状態)となります(表)。
そのうち、爪先から菌がくさび型もしくは線状に浸食するものは、治療効果が見えにくく、再発しやすい特徴があります。爪が厚くなるものも薬が内部に浸透しないため、難治性です。白癬菌は通常ばらばらに増殖しますが、菌が集まって塊が形成されるものをデルマトフィトマと呼びます。菌塊はバイオフィルムと呼ばれる膜に包まれており、薬剤が菌に到達するのを阻みます。デルマトフィトマは爪を削って顕微鏡で観察すると見つかります。
また、爪が変色していたり、厚くなっていると爪白癬ではないかと思ってしまいますが、実際は爪白癬ではなくても、同じような症状が出ることもあります。顕微鏡検査、培養検査で白癬菌がいるか医療機関で検査をして確認してもらうことが重要です。
■治療は?
爪白癬の治療は、20年位前に内服薬が認可され、数年前には爪白癬専用の外用剤も出ました。内服薬は2種類あります。一方は毎日継続して服用するもので、他方は4週間分の薬を1週間で服用し、残り3週間は服用をやめるというサイクルを続けるパルス治療です。
外用剤も2種類あります。一方は、有効成分が爪のケラチン蛋白(たんぱく)との親和性が低いため、邪魔されずに爪の深部に到達します。他方は有効成分の濃度を3倍にすることで爪のケラチン蛋白に邪魔されても爪の深部に浸透します。
爪白癬の軽度なものは外用剤、重度なものは内服薬の適応になりますが、くさび型や線状のタイプ、爪が厚くなったもの、デルマトフィトマは内服治療でも効きません。病変部をできる限り除去することで治療が効くようになりますので、爪を削ることが何より重要です(写真1~3)。
爪白癬は、おもに足白癬(足の水虫)をきちんと治療しなかったために、足の白癬菌が爪に感染して引き起こされたものです。爪白癬を放っておくと、だんだん爪が変形し厚くなり、痛くなったり靴下や靴が履きづらくなったりします。また、自分の体のほかの部位に感染したり、家族など周りの人にうつす可能性があります。足白癬も爪白癬も放置せず、根気よく治療していくことが肝心です。