ほっとホスピタル 病と健康
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第2回 脳卒中にならないために
第1回 失神

第28回 熱中症

夏に起こりやすい病気 ~熱中症~

2018.7.17
適切な水分・塩分補給を 屋内で発症することも

【相談者】
 Yさん 42歳男性。最近、健康のためにランニングを始めました。梅雨の晴れ間の暑い日、両足がけいれんを起こしました。目まいもして気分が悪くなり、動けなくなったので、仲間に連れられ、病院を受診して治療を受けました。

 人間は、生命活動や運動によって生み出された熱を、皮膚の血流増加や発汗・呼吸によって体外に放出して、体温を調節しています。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」で、高温の環境で体の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節が適切にできなくなったりした状態を指します(表)。

表 熱中症の症状

 2013年の夏、医療機関を受診した熱中症患者は約41万人に上り、うち3万5千人余り(全体の8・7%)が入院し、550人(同0・13%)が死亡しました。65歳以上が全体の45%、亡くなった方に限ると86%を占めました。地域別では九州・沖縄に多く、東北、北海道は少なかったです。  

■発症の要因は?
 気温が高いほど熱中症は起こりやすくなります。特に若い男性の屋外スポーツ、中壮年の労働に関連した熱中症は、気温の影響を受けやすいと言われます。さらに、湿度が高い、風が弱い、日差しが強いことも発症に結びつきます。屋内スポーツや労働は、時間が長いほど発症するリスクが高まります。

 高齢者では、日常生活の中で起こる屋内での熱中症が多くなります。徐々に進行し気付きにくいため、重症化する危険性があります。

 エアコンのない閉め切った(風のない)部屋に長時間いることで熱中症を発症する危険があります。高齢者や持病のある方、血圧や心臓病の薬を服用している方、独り暮らしの方などは重症化しやすい傾向があります。過労、睡眠不足、脱水、二日酔いなどの体調との影響が疑われる例もあります。体が暑さに慣れていない、梅雨の晴れ間や夏の初めに発症が多いとも言われています。

■予防は?
 体調を整え、天気予報をチェックして暑さ対策をし、無理をしないよう心掛けてください。涼しい服装をし、日傘、帽子やタオルで直射日光を避けます。日頃から運動で汗をかき、暑さに慣れておくことも大切です。これを「暑熱順化」と言います。水分や塩分、糖分の適切な補給も重要です。塩分、糖分濃度が理想的なのが経口補水液です。いわゆるスポーツドリンクは塩分が少なく、糖分を多く含むため、他の塩分補給と併用してください。梅昆布茶やみそ汁も塩分が豊富で有用です(図)。

図 熱中症の予防対策

 お茶やコーヒー、お酒などは、カフェインやアルコールにより尿が増えるため水分補給には適していません。

■応急処置は?
 熱中症の症状が見られたら、涼しい所に移動させ、安静にしてください。衣類を脱がせたり、水をかけてあおいだりして体を冷やします。

 また、経口補水液、スポーツドリンク、食塩水を少しずつ飲ませます。ただ、吐き気が強い、意識がないといった場合、経口摂取は危険です。

 急変することもあるので必ず誰かが付き添ってください。倦怠(けんたい)感や虚脱感の症状がある場合、医療機関を受診しましょう。


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