ほっとホスピタル 病と健康
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第34回 骨粗しょう症
第34回 大腿骨近位部骨折
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第1回 失神

第34回 骨粗しょう症

大腿骨近位部骨折と骨粗しょう症 ~骨粗しょう症~

2019.1.22
骨量減り強度低下 食事の献立に工夫を

【相談者】
 Sさん 70歳女性。病院で骨粗しょう症と言われ、骨密度の低さを指摘されました。治療法や注意点を教えてください。

■症状は?
 骨の量が減り、強度が低下して骨折しやすくなる病気が「骨粗しょう症」です。

 骨の強さは骨密度と骨の質によって決まります。骨を家の柱と考えてください。強く太い柱がたくさんあれば、当然壊れにくい家になります。同じように骨も「骨梁(こつりょう)」という柱が重要。骨密度は、この骨梁の面積当たりの本数のことを指します。つまり、骨粗しょう症は骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響し合って骨折のリスクが高まる病気なのです。

 まずは、ご自身が骨粗しょう症なのかどうかを知ることが大切です。簡易な方法として、世界保健機関が提唱する骨折リスク評価ツール「FRAX★」があり、インターネットのサイトで調べることもできます。骨折危険因子に対する質問への回答を入力すると、今後10年間の骨粗しょう症骨折と大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折の確率が出てきます。15%以上の場合は、医療機関での受診をお勧めします。(★は○の中にR)

■検査は?
 骨の強さを判定する代表的な指標として、骨密度測定があります。測定には、エネルギーの低い2種類のX線を使って測定するDXA(デキサ)法、かかととすねに超音波を当てて測定する超音波法、アルミニウム板と手のひらを同時にレントゲン撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比較して測定するMD法、レントゲン検査があります。

 骨密度が低いときは、骨代謝マーカーを血液検査で測り、骨を作る量が少なくないか、壊れ過ぎていないかを調べ、骨粗しょう症の治療薬を選びます。

■治療は?
 骨密度測定の結果が低い値であれば、飲み薬や注射剤などで薬物治療を行います。骨が壊れ過ぎている傾向があるときは骨吸収抑制薬を使います。骨を作る量が少ないときは、骨形成を促進する注射や閉経後の女性に有用な薬、骨の材料となるカルシウム、カルシウムを吸収するために用いるビタミンDの薬などを使用します。骨吸収抑制剤を使用する場合、まれに顎の骨が細菌に感染し、骨髄に炎症を来す病気の報告があるため、治療前には歯周病や抜歯が必要な歯がないか歯科でチェックすることをお勧めします。

 薬物治療は、1~2年といった長い治療期間で効果が表れます。痛みが消えたなど自己判断で薬を中断せず、医師の指示があるまで根気よく飲み続けましょう。

■対策は?
 骨粗しょう症の対策には、食事療法と運動療法を並行して行い、骨の強度を高めることが重要です。食事は骨の形成に役立つ栄養素のカルシウム(1日当たり700~800ミリグラム)とビタミンD(同10~20マイクログラム)の摂取が有用です。いろいろな種類の食品をバランスよく食べることを基本とし、その上でカルシウムやビタミンDを意識して取りましょう。アルコールやカフェインなどは、カルシウムの吸収を阻害させるため、お酒やコーヒーなどの過度な摂取は控えた方がよいでしょう。

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 最も有効な運動は、ジャンプなど骨の軸方向に刺激を与えることです。日常生活では階段を利用するようにしましょう。立ち仕事や行列の待ち時間にかかと上げをするのも効果があります。
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